スロカスが競輪始めたけど全然当たらないので、
予想AI作って爆益目指すよ🤣🤣🤣
§1💡 そこで私は考えた — AIで過去データを分析して、勝ち筋を見つけようと!!
もともとスロットを打っていた人間です。設定判別だ、期待値だと言っていたのに、ひょんなことから競輪に流れ着いて — 気づけば根拠ゼロで車券を買っている。ラインも脚質も分からん。新聞の記号も読めん。それでも買う。そして当たらない。
幸い、AIでWebサービスを作るのは趣味です。じゃあ自分の手で予想AIを作って、ごまかしの効かない方法で測ったらどうなるのか。確かめることにしました。
Fable 5 — Anthropic社のAI「Claude」の現役最強モデル。
賢すぎて「悪いことに使われたらヤバい」って理由で、アメリカ政府に一回サービスを止められたことがある。そんな国が警戒するレベルの頭脳に、競輪で勝つ方法を聞きます。
ただし先に言っておくと、的中率と回収率は別物です。競輪は控除率25%なので、本命ばかり当てても回収率は100%を切ります。AIの仕事は「当てること」ではなく、オッズと実力の乖離を見つけること。あと、検証で嘘をつくと全部無駄になります。
※各回答は実際のやりとりの要約です(原文は長いので抜粋)。
……1人だけ何やら不穏なことを言っている。でも全員「作れる」と言うなら作る。というわけで、まずはデータ集めからです。
- 3つのAIに聞いたら全員「作れる」。作り方の見解も一致(核心はライン、モデルはLightGBM)
- ただしFable 5だけ警告 — 「当てる」と「儲かる」は別物(競輪は25%抜かれるゲーム)
- 勝ち筋は、みんなの予想(オッズ)が間違ってる場所をデータで見つけることだけ
- というわけで、まずは過去データ集めからスタート
§2📊 まず、データを集めまくった — 3年分・82,725レース
Fable 5の指示どおり、まずはデータ集めから。過去3年分の82,725レース — 出走表、選手の成績、並び(ライン)、結果。合計で約54万人分の出走データになりました。スロットで言えば、全国のホール3年分の差枚データを全部拾ってくるようなものです。
さらに、毎朝8時半にその日の出走表・選手の調子・並び予想・締切12分前のオッズ・夜には結果まで、全部自動で取ってくる仕組みも構築。私が寝ていても、データは毎日勝手に増えていきます。
証拠は口で言うより見てもらった方が早い — 📊 収集データと今日の予測(毎日自動更新) を公開しています。予測は発走前にタイムスタンプ付きで公開し、夜に結果と突き合わせる。後出しできない形にしてあります。
検証の3つのルール — ここをサボった予想AIは、全部嘘になる
Fable 5が最初に言っていた「検証で嘘をつくと全部無駄になります」。具体的には、この3つを徹底しました。
| ルール | 意味 |
|---|---|
| 未来を見ない | 予想には「そのレースの発走前に知り得た情報」しか使わない。混ざっていないか毎回自動チェック |
| 買えるオッズで計算 | 回収率は「実際に買える時点のオッズ」で計算する。締切後の確定オッズを使うと成績はいくらでも盛れる — 世の「回収率124%」記事の多くがこの罠 |
| 自分で採点させない | 作った本人(AI)の自己申告は信じない。別のAIに毎回チェックさせる — 実際これで大バグが1個見つかりました(後述) |
※予想を出すのはLightGBMという専用の機械学習です。ChatGPTに出走表を貼って「予想して」と聞くタイプのAI予想とは別物。
§3💰 で、今どれくらい当たるの? — 成績は毎日ここで更新
細かい理屈より先に、まず成績から。現在のAIが選んだ本命(いちばん勝つ確率が高いと予測した選手)の成績です。
数字は毎晩、結果との突き合わせで自動更新。日ごとの明細は📊 データページで全部見られます。
……ん? 4割も当たってるのに、負けてる? そう。ここがこのゲームのいちばん恐ろしいところで、種明かしは次のセクションでやります。
🔍 AIの進化の歴史(ロジック別の成績)— 見たい人だけどうぞ
| バージョン | 中身(ざっくり) | 成績 |
|---|---|---|
| v1 | 選手の強さ+ラインの情報で1着を予測 | 本命的中 43.5% |
| v2(現行) | v1から「2026年に手に入らないデータ」を除いて作り直したクリーン版 | 本命的中 43.5% |
| ライン2着モデル | 「勝った選手のすぐ後ろ(番手)が2着に来やすい」を直接学習 | 2着的中 38.7%→50.9% |
モデルはLightGBMという機械学習。点線の言葉はタップで意味が出ます。
§4⚠️ なんで4割当てて、負けるのか — 競輪は「当てるゲーム」ではない
作り始めてすぐ、いちばん大事な前提にぶつかります。競輪はパリミュチュエル方式 — 払戻の原資は客の賭け金で、そこから25%が控除されます。つまり100円賭けると平均75円しか返ってこない。
「よく当たる」は勝ちを意味しない。オッズには既に"みんなの予想"が織り込まれていて、儲けるには市場の見積もりを25%以上上回る正確さで、割安な買い目を見抜く必要がある。
だからこのプロジェクトの目標は最初から「的中率」ではなく、期待値(EV) — 確率×オッズが1.00を超える買い目が実在するか、の一点に置きました。
§5🧪 検証① — AIは市場より賢いのか
🚴 その前に:「ライン」って何? — 競輪を知らない人向け(タップで開く)
競輪には他の競技にない「ライン(並び)」という構造があります。7人はバラバラに走るのではなく、数人が隊列を組む。「①が逃げる → 直後の②が有利 → ③も残る」というように、着順に因果の連鎖があるのです。
選手データを個別に眺めるだけのAIではなく、この「ライン → 展開 → 着順」の構造を読み込めれば、一段深く予測できるのではないか — それがこのプロジェクトの技術的な賭けでした。出走が7〜9人で組み合わせが手頃なのも、AIの題材として「ちょうどいい」サイズです。
最初の問いはこれです。「うちのAIの確率は、オッズが示す"みんなの総意"より正確なのか?」
モデルが一切学習していない期間(2025年7〜12月、12,698レース)の確定オッズを取得し、同じレース集合で予測精度(対数損失: 低いほど正確)を比較しました。
| 予測 | 対数損失 | 意味 |
|---|---|---|
| AI単独 | 1.4695 | 市場に負ける |
| 市場(オッズの総意) | 1.3858 | やはり強い |
| AI×市場の合成 | 1.3837 | 両方に勝つ |
AI単独では市場に勝てません(これは競馬研究の古典的な知見の通りでした)。しかし市場の確率とAIの確率を最適比率で混ぜると、市場単独を上回った。この「AIの寄与分」が偶然かどうかを統計検定にかけると — p値0.0068で「偶然ではない」。つまり:
このAIは、8万人の賭けの総意に対して、統計的に本物の「上乗せ情報」を持っている。
ここまでは、正直かなり嬉しい結果でした。問題は次です。
§6💰 検証② — では、勝てるのか
「統計的に賢い」と「儲かる」の間には、控除率25%という巨大な溝があります。合成確率でEV(確率×オッズ)を計算し、EVが高い買い目だけを選んで買ったら回収率はどうなるか — 6,174レースでシミュレーションしました。
損益分岐の1.00には、届いていない。
EV上位の買い目を実際に買った場合の回収率(まともなオッズ帯に限定・学習に使っていない後半期間):
| 買い方 | 点数 | 回収率 | 誤差(95%) |
|---|---|---|---|
| EV上位 0.1% | 56 | 113.6% | ±110pt = 雑音 |
| EV上位 1% | 564 | 68.1% | ±24pt |
| EV上位 5% | 2,824 | 74.5% | ±9.8pt |
| 市場平均(参考) | — | 75% | — |
つまり、AIが最も自信を持つ買い目でも、回収率は市場平均圏(75%前後)から抜け出せない。113.6%という数字も56点の偶然の範囲(誤差±110pt)です。
結論: 統計的に本物の優位は、経済的には薄すぎた。市場に25%勝つ必要があるゲームで、上乗せできたのはその10分の1以下だった。
§7🎢 道中で起きたこと — 仮説は次々に潰れた
結論だけ書くと綺麗ですが、実際は仮説が潰れていく過程でした。いくつか紹介します。
- 検証の途中で致命的なバグを「別のAI」が発見。学習時と本番で特徴量のスケールが100倍ズレていて、エラーは一切出ないのに予測が静かに劣化していた。自分(を手伝うAI)のチェックでは見つからず、文脈を持たない独立レビューAIが一発で検出。「作った本人に採点させない」原則の勝利でした。
- ライン仮説 → 半分当たり「2着は勝者と同ラインから出る」は本当だった。実測57.9%に対し、教科書的な確率モデル(Harville)は32.5%と大幅に過小評価。ここを直接学習するモデルを作ると2着的中率は38.7%→50.9%に跳ねた。ただし——
- 市場との対決 → 潰れた市場は「スジ(ライン決着)」をほぼ完全に織り込んでいた。確定オッズが同ライン決着に割り当てた確率は56.4%。実測57.9%との差はわずか1.5pt。競輪ファンの「スジ買い」は伊達ではなかった。
- 締切前の歪み → 幻想締切12分前のオッズでは市場の織り込みが13ptも甘く見えた日があった。しかしパリミュチュエルの払戻は確定オッズで決まる。締切直前に賢い金が流れ込んで歪みを修正する以上、「買った時に割安に見えた」は利益にならない。
§8📝 学び — 「AI予想」を見る目が変わる4つの事実
- 1. 市場は、思っているよりずっと賢い個人が公開情報で作れる特徴は、ほぼすべて既にオッズに織り込まれている。「AIだから見抜ける」は、検証すると25%の壁の前で消える。
- 2. 「よく当たる」を売りにするAI予想は、その時点で怪しい的中率と収支は別物。回収率の主張には「購入可能時点のオッズか」「学習に使っていない期間か」「点数と誤差はいくつか」を確認するだけで、大半は崩れる。
- 3. 検証は、生成より難しい今回いちばん価値があったのは、モデルではなく検証の仕組み(リーク自動検査・独立AIレビュー・市場ベースライン比較)。100倍バグはその仕組みだけが捕まえた。
- 4. 否定結果には、値段がつかないだけの価値がある「儲かる」と言う記事は無数にあるが、8万レースの否定結果を数字ごと公開したものはほぼない。この記録自体が、次に同じことを考える誰かの数ヶ月を節約する。
§9🚀 これから — 検証は続く(公開で)
プロジェクトは終わりではありません。「AIの上乗せ情報は本物(p=0.007)だが薄い」が現在地なら、次の問いは「上乗せを厚くする情報はどこにあるか」です。市場がまだ数値化していない情報 — 例えば:
どの仮説がどう転んだかは、この場所と X で数字ごと公開していきます。うまくいく保証はありません — が、うまくいかなかった場合も、その数字ごと公開することだけは保証します。